犯罪の暴走とメディア

神経を逆撫でするようは事件が起きている。渋谷区の路上では21歳の資産家令嬢が誘拐され、身代金を要求された。携帯電話の位置情報がヒントになって被害者救出につながった。容疑者として逮捕された3人は、日本―韓国―中国で構成されていた。大胆だが、計画の杜撰さもあり、同グループの形成過程を注目したい。


事件解決直後から違和感を持ったのは、テレビで過去の番組から取り出してきたVTRで家の中の様子から、フェラーリなどの高級外車を乗り回している姿や、家を3億円のキャシュで 買ったという話を流している。テレビ局が撮影し放送した時点とは180度変化しているのに、本人の承諾抜きで放送するのはどういう神経だろう。しかも、容疑者が女性整形科医のセレブな生活をテレビ見て犯行を思い立ったという供述をしているというのにである。被害者はあまりにワイドショーに符号する人だからといって、嫉妬や反感を底流に抱えたセレブ物語を流すのはやめてもらいたい。犯罪の被害にあったあと人はそっとしておいてほしいものである。

最近の犯罪は理解しがたいと語るコメンテーターの解説と推理を提供するテレビの光景こそ自家撞着に陥っている。「犯行のヒントはテレビ番組」と言いつつ「ゲーム感覚の犯罪が増えています」と解説。佐世保事件の時もワイドショーが語れなかったのは、カッターナイフの殺害シーンがサスペンスドラマで放送されていたということだった。テレビ番組を見て犯罪が企画され、またその報道がマススケールで消費されていく。薄く広く、場面転換は素早く、深く掘り下げず、衝動的で極端に短絡的であり、欲望に忠実で感情を隠さない。犯罪の傾向はゲームよりテレビにより近いのではないだろうか。